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服の柄の描きかた
わたしは資料としてWONDERFUL WORLDのカタログなどをよく見ます。たいていの服には何かしらの「柄」がプリントされています。俗にふりふりなんて言いますが、実はこの「柄」のほうが、ああいった服を印象付ける要素としては強いようにも思います。実際、フリルなんてない服だっていくらでもあるし(フリルではなくて、ゆったりとした布の使いかたを表した表現というほうが正しいのでしょう)。
ということで、じゃあ絵にも柄を入れよう、と思うと、はたと止まるわけです。服の全面にいちいちひとつひとつ柄を描き込んでやらなきゃいけないのか……。
というわけで、ここではわたしが使うプリント柄の入った服の描きかた、もっと正確に言うと服へのプリント柄の貼り付けかたの手順をまとめてあります。地道に描くより多少は楽という程度かもしれませんが、やってみようというきっかけにでもなれば幸いです。
■←は今回のサンプルに特化した部分です。ジャンパースカートに2種類のうまぬいぐるみの柄を貼ってみます。
Step 1
まず普通に服を描きます。普通といっても、主線と色はPhotoshop上で別レイヤーにしておきます。
Step 2
柄を「ひとつ」描きます(以下、柄パーツという)。ここで重要なのは、柄パーツの外側部分は、最終的に透明になるようにすることです(
Step 2
〜
Step 4
はその一例)。そこで、まず輪郭を描きます。これは、この線に沿って選択範囲を作り、それ以外を透明にするためで、内側は細かく描く必要はありません。
大きさはあとで調整すればイイので、適当に大きく描きます。大きく描いて縮小したほうが、最終的に繊細に見えていいです。
■このサンプルは、実は本物のぬいぐるみを横&前から撮影して、輪郭&縫い目トレースしたもの。切りぬくだけではなく通常の主線も兼ねるため、輪郭の内側も普通に描いてあります。
Step 3
柄パーツの色は、別レイヤーに、どうせ切り取るので
Step 2
の輪郭からはみ出すのは気にせず塗ります。
■Painter 6を使って、ローディッドオイルとかでがしがし塗ってます。
Step 4
色を塗り終わったら、
Step 2
の線に沿って自動選択ツールで外側を選択(アンチエイリアス)、
Step 3
で塗ったレイヤーを切り抜きます。これで柄パーツが「ひとつ」完成です。
■
Step 2
の主線も込みで切りぬいてあります。
Step 5
できた柄パーツを(大きめに描いたので)実際に置くサイズに縮小します。試しに服に1個重ねて置いて、「自由変形」などでサイズを調整してみて、ちょうどイイぐらいの比率を確認して、元の柄パーツを縮小しましょう。
サイズを変更したら、その柄パーツを何個も縦横に並べられるぐらいの適当な大きさの新規画像を開きます(あとで「サイズ変更...」可能)。ここに柄パーツをひとつひとつ、ドラッグ&ドロップで並べます。もちろんそのまま並べるとみんな同じ向きになってしまうので、並べるたびに角度を変えてやります。元の柄パーツと、それを45度だけ傾けた柄をそれぞれドラッグ&ドロップ元として用意して、それを交互に均等に配置して、置くたびに90度単位で回してやる(つまり全体では45度単位で8パターン)と、だいたい違和感ないでしょう。経験的には、三角形をたくさん作るように配置していくといいようです。
適当に画面いっぱいになったら、背景レイヤーを削除して表示レイヤーを統合します。
■最初の45度回転以外をすべて90度単位にするのは、90度回転なら画像が劣化しないから。
Step 2
〜
Step 4
では幅480ピクセルで描いていたのを、今回は貼り付け用に20%に縮小してます(スクリーンショット右側)。2種類の柄パーツそれぞれ元画像と、それをレイヤー複製して45度傾けたものを用意して、せっせと左の画像に並べます。
Step 6
これをいよいよ服に貼り付けます。一度に貼りつけるのは、布地が明確に分かれる部分(切り替わり)や、しわというよりもっと大きく波打ったような、要は主線で完全に区切られる範囲です。細かいしわなどでも、本当なら柄がゆがんだり切れたりするんですが、そのへんは無視して大きく貼り付けます(でないとキリがない)。
Step 5
の柄レイヤーを、だいたい貼り付けるあたりにどかっと、服の色のレイヤーよりも上に置いて、貼り付け範囲となる部分にイイ具合に柄が配置されるように移動して、あとはその貼り付け範囲の外側を消しゴムツールで消去します。合成方法は「通常」です(そのために柄の外側を透明にしてある)。
■どこで区切るかはこだわりの問題かも。一面に一様に貼っても、それっぽく見える場合もあるし(柄にもよる)。今回は主線による範囲区切りを基本にしつつ、大きいしわに乗る部分をちょっとずらしてます。
Step 7
Step 6
を服の全体にわたって繰り返し、最後に、貼り付けた柄のレイヤーどうしを統合します。
柄レイヤーは、布地の色に多少なじませる感じで、不透明度をちょっと(5〜10%ぐらい)下げます。また、しわの線がちゃんと出るように、服(または全体)の主線レイヤーを服の色、柄のレイヤーよりも上に移し、合成を「乗算」にします。
■今回は
Step 8
をやったら、なんかそれだけでイイ感じなので、最終的には不透明度100%で完成にしました。
Step 8
Step 7
までだと、柄には陰影が(服への透明度5〜10%ぶんしか)ないので、立体感に欠けると思うかもしれません。実際には、柄が極端に服の大部分を占拠しなければ、そのままでもそれほど気にならないとも思いますが、逆に柄の率がすごく大きい場合は、ちゃんと陰影をつけたほうがいいでしょう。
まず服の色レイヤーを複製し、それを柄レイヤーの上に移動、乗算合成します。このレイヤーに対し、「色相・彩度」で彩度を落としてグレー(またはそれに近く)にし、「レベル補正」で柄の絵そのものが潰れないように陰影を調整します。
調整後、↑この部分だけ統合したうえで、その結果←を柄レイヤーとグループ化(これで柄がある部分にのみ陰影がかかる)します。
現状では、上記のように「服の色レイヤー複製と調整レイヤー」をまず統合したうえで、それから柄レイヤーとグループ化して結果を見る必要があります。調整パラメータの変更やりなおしは「服の色レイヤー複製と調整レイヤー」の統合前に(「復帰」や「ヒストリー」で)戻らないといけません(面倒)。Photoshop 6で実装されるという「レイヤーの階層化」ができれば、「『服の色レイヤー複製と調整レイヤーのセット』と柄レイヤーをグループ化」して、調整レイヤーのスライダーを動かしつつチェックとかできそうなんですが。
Finish
あとは(柄ものに限らず)全体のバランスを見て、調整レイヤーを入れたりなんだりします。細かいパラメータなどは、実際のデータを見てみてください。
サンプルPhotoshop 5.5ファイル