FET差動バランス型ヘッドホンアンプ兼プリアンプ

2015.05.10

●経緯

大元のきっかけはRoland Mobile UA USB-DACを購入したことでした。このS1LKiによるアップサンプリングPCM→1bit変換がいい感じで、その後発表された上位版Super UAではバランス出力になるということで、じゃあそれ買ってアンプ関連すべてバランス伝送にしよう、と思い立ったことから始まりました。本機はその中核となります。

この思いつきから実際にSuper UAを購入し(!)、EL34パワーアンプのバランス化改造、ヘッドホンMDR-CD900STのバランス化改造まで行い、次はバランス入力版STAXイヤースピーカードライバ−を製作する予定です。


●設計

ぺるけさんのFET差動バランス型ヘッドホンアンプに、3in-3outのセレクタを追加しています。電源は、ACアダプタは邪魔くさいので、スイッチング電源基板イーターBNM-12SA-U1を内蔵して、通常のACインレットを外に出しました。

今までのプリアンプは4in-4outでしたが、バランス型ということは一度にバランス2×ステレオ2の4回路を切り替える必要があります。しかし入手しやすいロータリースイッチは回路×接点=12しかないので、必然的に3接点(3切り替え)となりました。まあアンバランスのプリアンプも残るので問題ありません。

端子はすべてXLRにしています。TRS(標準フォーン)にしなかったのは、おおむね見てくれの問題(なんか格好良いから)です。実際、Super UAの出力はTRS(本体)とXLR(ブレークアウトボックス)1組ずつ、EL34パワーアンプの入力はTRSにしているので、ケーブルは何かと制約があります。

ヘッドホン端子(前面出力端子)は5ピンのXLRです。一応、通常の出力としても使うことを考えて、オスとしました。


●製作

シャーシ加工は秋葉原ラジオデパートの地下の奥澤に依頼しました。正式な図面の書き方を知らず、手持ちのMicrosoft Visioでとにかく寸法に漏れがないように書いて(リンク先PDF)持って行ったところ、受け付けてもらえて一安心。ただ、ロータリースイッチの穴サイズとストッパー穴の位置、ヒューズホルダー穴サイズはこちらの指定が間違っていて、届いてからテーパーリーマーで広げたりしました(上図では未修正)。

シャーシへのラグ等の取り付けは、すべて貼り付けボス(タカチのネジ穴が立っているタイプ)で済ませて上面の穴をなくしています。

ひととおりできたと思って電源を入れ、鳴らしてみたところ、まったく音が出ません。原因は、なんと入出力の配線が逆だったためでした。具体的には、セレクタのロータリースイッチと、アンプ回路本体の間の接続が入出力逆でした。出力端子にボリュームがつながっていましたよ。というわけで、両者をぶった切って、入れ替えたらちゃんと音が出るようになりました。よかった。間違いが豪快だったおかげで、かえって修正は楽でした。

継ぎ足し継ぎ足し

上がアンバランス版、下がバランス版


●おまけ

当機はヘッドホンアンプであるので、ヘッドホンのほうもということで、MDR-CD900STをバランス化しました。細い4芯シールドケーブルを通販で探しましたが、いつも利用している店で見つからなかったので、シールドなし8芯のスリムロボットケーブルという製品を使いました。中の線を1本おきにGNDとしてシールド代わりにしています。網状シールドは面倒なのでかえってよかった?

Wonder-Ranch by itokei