FOSTEX T50RP mk3nのグランド分離改造

2015.11.29

●経緯

平面駆動&比較的廉価というのに惹かれてFOSTEX T50RP mk3nを買いました。音はたいへん好ましく、これだったら手持ちのSTAXイヤースピーカーよりいいかもとか思いました。

ただ、すでに部屋の機器はバランス伝送がメインになっているのに、本機はアンバランス伝送であり、特にバランス伝送(≒グランド分離)するオプションが用意されているわけでもありません。

じゃあ改造だ、ということです。


●分解

本機はケーブル直付けではなく、左耳にステレオミニジャックが内蔵してあり、ラッチのある付属ケーブルがぴったりはまるようになっています。

その左耳側のイヤーパッド(接着等はされていない)を外し、現れたネジの外側4か所を外すと、ドライバユニットの裏側とミニジャックへの配線が見えます。

赤丸の箇所のネジを外す

赤:R、青:L、白:GND

実は内部的には4極グランド分離になっていた……という期待もありましたが、そんなに甘くはありません。このミニジャックの部品はマル信無線電機MJ-352W-0 (PDF)と思われます。これの端子穴の出っ張りがハウジングの丸穴に通され、円形のナットで固定されていました。

取り外したステレオミニジャックの部品

この部品を3極から4極に変えれば使い勝手そのままでグランド分離になりますが、残念なことに同じ型で4極の製品はないようです。

そこで、ミニジャックの交換はあきらめ、ケーブル直付けにしました端子部の径が同じで似た形の、スイッチサイエンスSSCI-KIT-AUDIOJACK4Pを、接着剤で固めることにしました。


●改造

前項に書いた手順でL側のハウジングを開け、元のステレオミニジャックの部品からケーブルを切り離します。リード線の色は青:L+、赤:R+、白:GNDです。

4極の割り当てに規格はないようですが、通常のステレオとの互換性もとれるように、チップ(先端)からL+、R+、L−、R−(“4極グランド分離出力”はなぜ高音質なのか? OPPOのポタアン「HA-2」とヘッドホン「PM-3」で検証に合わせた)としました……つもりでしたが、確認不足により誤ってR+、L+、L−、R−としてしまいました。後述の固定作業をした後に気づいたため、ケーブル側で合わせることでつじつまを合わせるしかありません。−側が逆だったら何の問題もないのですが、これでは通常のステレオケーブルの場合にR/Lが逆になってしまいます……。

注意:青と赤は逆!

リード線を4極ミニジャックに直接(付属の基板は出っ張りすぎて使えません)はんだ付けしたら、元の穴に端子を差し込み、ハウジング側のガイドパーツもろともホットメルトで固めてしまいます。ちょうど別件でダイソーのグルーガン(200円+大型間接税)を買っていたので、これがなければケーブル直付けしか思いつかなかったでしょう。

R側から伸びているオレンジ色の被覆のケーブルは、中の線が極細で手持ちのワイヤストリッパが使えず、剥くだけでも神経を使いました。しかも中は銅線と一緒に毛?も撚られていてはんだが乗りにくい。あのオレンジ色はデザイン上のアクセントにもなっていますが、R側〜ヘッドバンド内〜L側の配線まるごと取り換えた方が良かったかもしれません。

外見の変化


●接続

ヘッドホン本体は以上ですが、これ用のケーブルも作る必要があります。

ケーブルは共和ハーモネットのシールド付きスリムロボットケーブル4芯を使用しました。MDR-CD900STの時はシールドなし8芯を使いましたが、シールド付き4芯のほうが入手性が良いようです。

ヘッドホンアンプ兼プリアンプのヘッドホン出力はXLR 5Pオスなので、ケーブルの端子はXLR 5Pメス〜4極ミニプラグです。これなら根元でケーブルのシールドをアースに落とせます。4極ミニプラグは、適当に買った六角断面のものが太くてヘッドホンに入らないので、あわててオヤイデ新製品の4極ミニプラグP-3.5/4Gを注文しました。ヘッドホン側の端子の穴は直径8mmですので注意。

ということで、ちょっと引っかかりを残しつつも、一応、成功ということで。

Wonder-Ranch by itokei