Shure SE535用MMCXケーブルの自作
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●経緯
Shure SE535を買いました。SE530を持っていたのですが、微妙に音が軽くて微妙に音が粗い感じがしないでもないのと、単に新しいの(といっても3年前の製品)がほしくなってしまったためです。
ただ、SE535はケーブルが1.6mもあって、しかもSE530――これは左右合流の部分でケーブルを分離できる――よりも硬めで扱いにくい。幸いSE535はイヤホン本体とケーブルが着脱できるので、予備ケーブルを確保したうえで、SE530同様に左右合流部で切ってステレオミニプラグを取り付け、切ったもう一方を短い延長ケーブルにしようと考えました。
そして失敗しました。工作が下手だといえばそのとおりですが、見た目で選んだオヤ○デのミニプラグ&ジャックは、ホット&コールド端子に穴など引っ掛かりがまったくなく、はんだ付けに苦心しているうちに絶縁の樹脂を溶かしたのか、音が出る出ないレベルで接触あるいは絶縁が不安定になってしまったのです。
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残骸(だが後ほど再生)
予備に買った純正ケーブルと別のミニプラグでの再チャレンジも考えましたが、結局ケーブルそのものを作ることにしました。
●製作
SE535のイヤホンとケーブルの間のコネクタは、通常は高周波で使われるMMCXと言うそうで(MMCX採用イヤフォンでリケーブルを楽しむ - AV Watch)、とにかく小さい。ケーブル作例も少数見つかりましたが、どれも小ささに苦労したようです。そのMMCXのケーブル側(プラグ)は、千石電商でMMCX-LP-174Aというのを、予備も入れて4つ購入。これはL字になっているもので、ストレートタイプのMMCX-P-174Aが1個しか店頭になかったこと、L字のほうが耳にひっかけるのに都合がいいと思って選択しました。ただし作例は見当たりません。
ケーブルは九州電気の店頭にぶら下がってた0.12mmより線が2本ツイストされているもので、シールド線「ではない」柔らかいものを選びました。
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本体のセンターピンは抜いた状態
MMCX-LP-174Aは(1)本体、(2)アース側を圧着する?パイプ、(3)金属の丸い板、(4)樹脂の丸い板の4つからなります。MMCXのセンターピンは、端子側から押し出し、最後は0.3mmシャーペン用の芯抜き針で突くと抜くことができますが、抜いた状態でケーブルをはんだ付けしたら、開口部が狭くてピンを挿し直せなくなりました。失敗。
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ここからセンターピンを本体に戻せなかった
仕方ないので、L字の横の穴から1mmくらいだけ剥いた線を通し、ピンの頭(凵の形)に芯線を乗せてから、ピンを少しだけ押し出して頭を上に持ち上げ、そこをごく少量はんだ付け、という手順にしました(gootの高密度集積基板用はんだを使った)。ストレートタイプだとセンターピンを抜いてはんだ付けできるようですが、その点L字型は難易度が上がります……。細い耐熱絶縁チューブがあるならそれもいっしょに通しておいた方が安全でしょう。
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3mm穴の中の1mmのとこにハンダづけ……
アースは端子と反対側の表面がざらついている部分に線を巻きつけて、はんだを流し込みます。最後に付け根部分を瞬間接着剤で固めて結線は終わり。
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アースの接続と、フタ
MMCXプラグに同梱されている樹脂と金属の円板はL字部分のフタになります。はんだが乗らないので、ここも瞬間接着剤で止めます。あとはケーブル接続部分を熱収縮チューブで覆って、同じく赤&青のチューブを左右の見分け用に通して、イヤホン側はできあがり。
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イヤホン側完成
あえて柔らかいケーブルにしたので、針金等でイヤークリップ的な形を作らなくても耳にフィットします。根元側を重くすれば引っ張られて安定するでしょう。実際にSE535につないで耳に装着してみると、やはりL字であることはShure掛けには良かったようです。
ソース側には、最初に失敗したオヤイデのミニプラグを、ケーブルとハンダを取り除いて再度挑戦。今度はちゃんとできました。
ケーブルの長さは、耳からヘソに届くかなくらいにしています。胸ポケットに入れるのにぴったり。途中に熱収縮チューブを収縮させずに通しておいて、これで左右を絞ることにしました。
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全体図